第 136 号
須永博士先生の講演会に参加して
「本気を出せばなんでもやれる」本気で生きよう、傷つくことは今まで以上に多いかもしれないけれど一生懸命生きてみよう、必ず自分の夢がつかめると信じて今はこの道を生きていこう」・・この言葉は約2年前に塾頭から頂いたパネルに書かれてあった言葉です。当時は色々なことがあり、かなり落ち込んで悩んでいたため、正直なところ「一生懸命生きてもロクな事ないよ・・」とこの言葉を見てもネガティブな考えしか思い浮かびませんでした。そんな状態だったので、この言葉を書いた方の事を気にとめることもなく、ただ何となく部屋に飾っているだけの状態でした。今年のある日、塾の勉強会の時に事務局の皆さんが熊本の須永博士美術館へ行って来たという話を聞き、塾の壁にかけてある作品を見せてもらいました。目にした時、「あれ?どこかで見たような?」と思ったものの、その場では思い出せず、何だかスッキリしない感じでした。それから暫くして、自分の部屋に何となくかけてあったパネルが「須永博士」先生の作品であった事にやっと気付きました。その時にもう一度書かれてある言葉を読んで思った事は「本気になってやれば何でもできるんだ」と、書かれている言葉と同じ事でした。塾頭が「何事も本気でやる気があるかどうかで決まる。甘えを捨て、失敗を恐れずに挑戦してみろ。」ということを、当時不安ばかりで、行動することなく甘えていた私に伝えたかったのかも知れないと、ふと思いました。「本気を出せばなんでもやれる」は、今では、仕事から逃げたいと思った時や、くやしい事があった時に励ましてくれる強い味方です。

 前置きが長くなりましたが、今回の「須永博士講演会」は事務局の皆さんの話や塾報で、感動する素晴らしいお話が聞けるとのことだったので、とても楽しみにしていました。一見、普通のおじさんに見受けられる須永先生は、長年の間全国を旅しながら出会われた、様々な事情を抱えた方の話を幾つかして下さいました。余命少ない子供を持つお母さんの話、難病に冒された子の話、いじめによる自殺でこの世を去った少年とその家族の話、海でおぼれた少年を助ける為に自らの命を捧げた少年と親友の話など、私の近くでは聞いた事がないため、現実にこんな事があったという事が信じられないような話がありました。世の中には、耐えられないような悲しみを背負っている人、自分を省みずに命を張れる勇気のある人、家族をとても愛せる人などがいて、皆それぞれ色んな事情を抱えて生きているのだという事が、頭じゃなくて心にすっと入って来て、涙が出ました。特に印象に残ったのが、いじめによる自殺で亡くなった少年とそのご家族の話で、須永先生が亡くなった少年に何か詩を書きましょうかと尋ねた時、お母さんが「死んだ子は帰って来ないから、いじめた子たちが二度と間違いを犯さないように、その子たちに詩を書いて下さい」と言った言葉。愛する子供に先立たれてしまった家族の悲しみはどれだけ深いのだろう・・と考えました。親になってみないと分からない事だと思うのですが、きっと言葉にならないような、どうすることもできない悲しみに襲われるのではないかと想像します。悲しみや苦しみを人から告げられた時というのは、何という言葉をかけてよいのか、私はわからないことが多いです。形式的な言葉しか出てきませんし、それすら言えない場合があります。悲しみや苦しみを知って、その人がその時に必要な言葉を与えられる須永先生の才能は本当に素晴らしいです。言葉には力があり、人を生かす事もあれば、殺すこともあると言いますが、「人を生かす言葉」を先生は作っているのだという事がわかりました。いじめや自殺が後を絶たない現代です。生きたくても生きられない人もいれば、自分で死を選ぶ人もいます。生きる事は辛い事もあるけれど、命があるという事はとても有り難い事だから、どんな命も大切に・・ということを考えさせて頂いた、意義深い講演会でした。
 サイン会では、色紙に就職活動でつまずいていた親友へのメッセージを先生にお願いしました。色んな色紙がありましたが、私の心強い味方となっている同じものを選んで、それに「すてきな人生を作り続けて下さい、明るく元気に・・」というメッセージを書いて頂きました。そして、なんと!色紙だけでなく、先生が用意されていたボードにもメッセージを書いて下さいました。「青春は行動力です。どれだけ動いて自分にふさわしい人生・夢・愛を見つけるかです。動け。やれ。」とても元気になれる言葉です。「まだまだ若いのだから、好きな事を沢山見つけて、楽しまなくては!」とテンションが上がってくる言葉です。先日、親友と会い渡すと、とても喜んでくれて、「これからもお互いに素敵な人生にしていけるように頑張ろう!」という話ができました。先生、ありがとうございました!少しお話しただけで、さらさらとその人にふさわしい言葉を書くことが出来る感性には驚かされ、心を読まれているのではないかとギクッとします。なぜそのような事がすんなり出来てしまうのか、不思議で仕方ありません。なんでも、書くときは一気に集中して書く為、その時に何を書いたかということを全く覚えていないとか・・これまた不思議な話です。講演会終了後の懇親会に参加させて頂いた時、先生が会場にあった大きな仕切りにメッセージを書いている様子をじっと見ていたのですが・・ものすごい集中力で、その集中力に周りも引き込まれて緊張感が漂っていて、「才能」を目の当たりにした気がしました。そんな先生も色々とご苦労されたという話を伺い、怖いものなしで何でもできるという印象を持っていた私には意外で、苦労や経験が多いほど、人に多くの事を与えられる味のある人になれるのかな・・と思いました。今後も須永先生には、お元気で、沢山の人々に力を与え続けて頂きたいです。私も先生の言葉を栄養剤にして、これからの人生、楽しい事や辛い事をたくさん経験しながら歩んで行きます。今回須永先生にお会い出来、貴重なお話を聞かせて頂いた事に感謝します。須永先生やスタッフの皆様、塾頭をはじめとする政経塾事務局の皆様、ありがとうございました。

      
平成19年12月18日
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