第 154 号
愛媛県生涯学習センター(愛媛人物博物館)見学
 平成20517()に四国政経塾の主な事業の一つでもある偉人館巡りを実施致しました。事務所移転や新規事業の立ち上げなどで中々時間がとれず、久しぶりに実施した偉人館巡りでした。今回は愛媛の偉人をキーワードに訪問先を選定し、愛媛県生涯学習センター(愛媛県松山市上野町甲650番地)へ研修に向いました。愛媛県生涯学習センターを選んだのにはもう一つ理由がありました。韓国機会の学塾生の方から日本の生涯学習について研究をしたいとのことで、日本での研修の受け入れ先を探すことも目的の一つでした。現地に到着して早速にセンター職員の今村さんと河野さんにお話をさせていただき、希望される研修内容にはよりますが、受け入れについてのご検討はいただける旨を快くご承諾いただきました。

 さて、愛媛県生涯学習センターとは愛媛県松山市上野町に所在し、県民の生涯学習に対する期待と関心の高まりに応えるとともに、生涯学習を推進する拠点施設として県民の自発的な学習を盛んにし一人ひとりが心豊かで生きがいのある人生を送れるよう支援することを目的として、平成341日より開設されています。施設概要としてはレッスン室(2)・県民小劇場(定員505)・パソコン演習室(PC30台)・研修室(6)・図書室・愛媛人物博物館展示室(6)等となっています。事業の主な概要としては学習情報の提供及び学習相談の充実・学び舎えひめの運営・地域学の推進・指導者の養成・ヤングボランティアの育成・学習活動の促進・学社融合の推進・愛媛人物博物館の運営・県民への施設開放など多岐にわたっております。
 今回は愛媛人物博物館にスポットを当てて見学させていただきました。愛媛人物博物館はセンター内にある常設展示場にて愛媛県にゆかりの深い偉人・賢人の遺品や業績を展示し、展示人物の生き方を学ぶ機会を提供し、生涯学習風土の醸成を図ることを目的とし開設されています。展示会場は2階と3階に別れており、学問・教育・政治行政・産業・社会・芸術・文芸・芸能・スポーツに分類されて分かりやすく展示されています。
 皆さんは愛媛県にゆかりのある偉人・賢人といわれて何人の方々を思い浮かべますか?私は正直なところ儒学者の尾藤二洲・近藤篤山・新幹線の十河信二・住友初代支配人の広瀬宰平・俳人正岡子規・小説ぼっちゃんの夏目漱石・飛行機発明者の二宮忠八などわずか5〜6名で、愛媛県に住みながらなんとも不勉強で郷土の偉人・賢人について如何に無知かを思い知ることとなりました。この博物館で紹介されている偉人・賢人は総勢154名です。鎌倉時代から昭和時代を背景とした人物が紹介されています。地域別に見ると東予37名・中予73名・南予44名の計154名となっています。154名全ての偉業をご紹介することは出来ませんが、今回私が個人的にご紹介したい偉人は伊予郡筒井村(現在の松前町)出身の作兵衛(サクベイ)です。県内に色々な偉人・賢人はいらっしゃいますが、その多くは業績や技を称えられ栄誉や名声を受けておられます。作兵衛(サクベイ)は農業を営む農民ですが、荒れた土地を耕し、コツコツと農業を営み、享保の大飢饉の際に種子の大切さを思い、食用とせず枕の中に麦種を入れて餓死しましたが、人びとから「美農作兵衛」といわれその偉業は後世に伝えられています。麦種を残すこと自体は、常時であれば農家がごく自然に行う行為で、大飢饉でもなければ決して大きな事を成し遂げたというものではありませんが、人びとの命をつなぐ為に、自分は種を食さずに餓死するなどということは、一般の常人ではなかなか出来ることではないでしょう。地味ではありますがこの生き方からは本当に学ぶべきことが多いと思います。名誉や冨ではない本当の偉業とは、実は地味で目立たないけど、人々の心に届く本物の作業なのだと思いました。そもそも作兵衛が最後まで枕に入れていた麦種をとった畑も、元々は荒れた土地を毎日コツコツと耕したものです。最初は周囲の人もこんな荒れた土地に作物など出来るわけがないと思っていたそうです。今も昔も時代は変わってもそれぞれが果たすべきことは、この日々の小さな継続の力だと思いました。現代社会では、とかく周りの意見や物の見方を気にしてしまいがちですが、それでは本物の仕事は出来ないことを学ぶことができます。時の偉い人から表彰されたり名誉を与えられたわけではありませんが、その生き方は地域の人びとに根強く語り継がれ顕彰されています。今回は事前に作兵衛のことも下調べして行きましたが、常設展示場だけでは、なかなか深くは見えないと思います。松前町のHPなどでもご紹介されていますので、是非一度皆様も検索してみてください。今後我々がやるべき作業も、作兵衛のような地味で目立たないかもしれないが、人々に影響を与えることが出来るような本物の活動をしていきたいと思います。今後何年・何十年と継続し、その中で試行錯誤しながらも本物を求めて継続していくことの大切さを学んだ偉人館巡りでした。
 この日は松山市にある子規堂も見学しました。正岡子規は慶応三年に松山市に生まれ、東京時代の学友であった夏目漱石との振興も深く、全国に日本新派俳句を普及させたことで有名です。松山に初めて野球を取り入れたことでも知られています。子規堂は文学仲間であった正宗寺の住職仏海禅師が業績を記念して式が17歳で上京するまで過ごした住居を寺の中に残したものです。家は決して大きなものではありません。子規が勉学に励んだ部屋も決してお世辞にも広いとは言えない質素なものです。偉業とはやはり恵まれない環境から生まれるものかも知れません。そんなことを思いながら施設内を見学しておりました。

 今回の偉人館巡りで、自分たちの進むべき道を再度見直し、偉人達の生き方からまだまだ学ぶべきことが沢山あることを認識しました。殺伐とした社会に偉人の業績から学び取ることは、その人物の心の置き方や思いにあることも知りました。とかく業績に目を向けがちですが、しっかりと人物に焦点を当ててその生き方を学ぶべきだと思い今後の活動の励みにしたいと思います。

        

愛媛県生涯学習センター
住所 791-1136 愛媛県松山市上野町甲650番地
TEL 089-963-2111 (代表)
FAX 089-963-4526
E-mail syogai-gakusyu@pref.ehime.jp
生涯学習
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(愛媛県PTA連合会)
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平成20年5月17日
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