第 161 号
日本新世紀ビジョン研究会・秋山兄弟生誕地を尋ねて
 平成20年7月19日(土)に参議院議員山本順三氏が代表を努める日本新世紀ビジョン研究会が松山全日空ホテルを会場に開催され出席しました。この研究会に合わせて松山市へ四国政経塾の事業である偉人館巡りも行いました。

 さて、山本順三先生は現在内閣で国土交通大臣政務官の役職にあり、この観点から活動されている様々な内容を報告する場でもあり国政報告を合わせた形で実施されました。ご承知のとおり今国政においては衆参両議院で与党と野党のネジレ現象が起こっています。また、色々な官僚や政治家を巡る汚職や官製談合などの様々な問題がクローズアップされ、国民の政治不信や政治家不信が一層強くなり、政治に対する厳しい見方が多くなりました。今の状況から脱却するためには、本格的に真正面からの議論が必要で、官僚も政治家も今の時代のなかで、旧体制の考え方を変えなければならないとおっしゃっています。また、日本はかつて貿易立国で、世界の貿易港におけるコンテナの取り扱い数量ベスト10に、神戸港や横浜港が必ず入っていましたが、現在では30位に東京・横浜・名古屋などがあるそうです。ちなみにベスト10に上がってきたのは、韓国釜山港や中国等のようです。こうした点だけを見ても日本は国際競争力が低下し、結果地方がだんだん衰退していくことを懸念されています。今こそ地方が生き残る最低限の整備を話し合う必要性があり、10月より観光庁が設立されることを機に、地方にとっては大きな資源である観光にも力を入れて行きたいと述べられました。国家の品格の著書である藤原正彦氏が書いた国家のけじめの中から「弱者は正義ではない」の内容引用され、マスコミの取り上げ方次第で、正しくないことが正しくなってしまうことにも注意すべきという警告が印象的でした。私たちも普段ニュースや記事を目にしますが、問題の核心に迫る時、物の見方や考え方で色々な解釈が生まれ、確かに弱者と言われる人達に目や意識が奪われがちになります。確かに努力したくても出来ない人だっていることはあるでしょう。ただ何も努力せずに弱者と言うのでは確かにそれを正義とするのはおかしいのかも知れません。地域格差や格差社会と言われておりますが、我々もただ地方が衰退するのを待つのではなく、地方から何かを発信していかなければならないのだと思いました。逆に考えると都会にはない地方の良さを見つめ直すよい機会ではないかと思います。
 研究会のゲストに衆議院議員の小池百合子先生による講演会も行われました。環境大臣や防衛大臣を歴任された小池先生からは、特に環境問題への取り組みについてのお話がありました。今起こっている原油高騰の問題に焦点をあて環境税の提唱もされたそうです。これは、日本が元々石油のない国なのだから、石油の値段を安くするというよりも石油そのものを使わない努力をすべきという考え方です。日本の技術開発力をもってすれば、ただ捨てていた物などをエネルギーに変えることだって可能であり、その技術開発に環境税を充てるべきと言う意見でした。国民一人当たり一月180円の負担によって環境税を進めていたそうですが、現実のものにはなかなか難しい壁もあるようでした。小池先生からは環境問題は国だけの問題ではなく、国民一人ひとりが生活の見直しをして、いろんな工夫と知恵を働かせてほしいと述べられました。
 環境問題は私たち高度成長期を経験した者の果たすべき役割だと思います。環境を破壊して数々の便利なものや情報を手にいれた私たちは、これからは生活をシフトして環境に配慮した生き方をしなければならないと思います。しかしながら、人間は一度贅沢を覚えるとなかなかそこから脱却できません。こうして偉そうに記事を書いている私自身も一気に生活を180度変えることは出来ません。そのジレンマを感じながらも、身近な電力の節減などの出来ることから始めます。

 この日は松山市内にある秋山兄弟生誕地も尋ねました。弟の眞之は、幼少のころは暴れん坊の反面、海軍では部下を労わった逸話も多く、生来の合理的科学的な思考の素質に加えアメリカ留学や欧米出張で、その才能はますます磨き上げられました。日本海海戦で大勝利をおさめた後も、冷静に国力を分析し国の将来を憂いていました。空軍と潜水艦隊の強化を説き、中国革命の孫文を支援し、アメリカと戦うことの非を唱えました。日本海海戦後の講演会では、「日本海海戦の勝利は英雄の力ではなく、全員がその責務を存分に発揮したからであります。」と述べています。また戦場では合理的・科学的な分析に基づいて戦略を立てていた眞之でも、戦いの場では常に神に祈っていたそうであります。
 兄秋山好古は日露戦争で日本の騎兵隊に始めて機関砲を常備して、世界最強と言われたロシアのコサック騎兵隊を撃退しました。将軍大将に栄進しましたが、退役後は松山の北予中学校(現在の松山北高等学校)の校長に就任し、教育に情熱を注ぎました。普段の生活は質素で、「人間は貧乏がええよ。「艱難汝を玉にする」と言うてね、人間は苦労せんと出来上がらんのじゃ、苦しみを楽しみとする心がけが大切じゃ」と論じていたそうです。兄弟親族への思いも深く、弟の眞之を育て、その葬儀では「弟は例え秒分の片時でも、お国のためという概念を捨てなかった。このことだけは兄としてはっきり言うることです。」と挨拶したそうです。
 この二人の生き方は、貧しくとも志は高く、激動の明治時代の中にあって、青雲の志を抱き続けた松山の偉大な先人として、財団法人常盤同郷会によって引き継がれ、青少年の育成と心身の鍛錬を目指した活動を目指しています。

        

 秋山兄弟の生き方から学ぶべきものは、兄弟愛は元より家族や部下・仲間を大切にする心であります。そして日本を思う愛国心ではないかと思います。現在では色んなものが簡単に手に入り、苦労することはほとんど無くなりました。こうした環境下で教育を受けた私たちも、苦労して学ぶことによる感謝よりも、無くて不便に思う不平不満の方が強くなってしまっているように思います。私は教育者ではありませんが、現在の教育の在り方も考え直す時期がきていると思いました。私たちが先ずもって学ばなければならないのは、受験や就職に必要な計算力や知識ではなく、人や国を思う道徳心ではないかと思います。そして近代歴史をしっかり学んだうえで隣国との溝を埋める努力と、苦境に耐える忍耐力ではないでしょうか。経済優先できた今の社会ですが、勝ち組や負け組みといった経済力だけで判断する物の見方を止め、人間を心で判断する時代が求められていると思います。時代こそ明治とは違いますが、時代が変わっても変えてはいけないものは人の思いやりや優しさなのだと思います。そろそろ経済優先の社会に区切りをつけ私自身も心の置きかたや物事の考え方をきちんと整理する必要があると痛感しました。
平成20年7月19日
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