第 166 号
希望の島「上島町」コミュニティービジネスを訪ねて
 去る平成20年2月16日(土)に松下政経塾26期生の兼頭一司さんの卒塾にあたり越智郡上島町弓削島で開催された希望の島フォーラム「〜ボクらの地域の未来はボクらが創る〜」からおよそ9ヶ月、NHKの地域羅針盤にて兼頭さんが「しまの会社」を設立しコミュニティビジネスに取り組む姿が放映され、その拠点となるコミュニティカフェ「しまでCafe」が26日にオープンし愛媛新聞にてその活動が掲載されました。11月29日その活躍と経緯を視察しに兼頭さんを訪ね上島町へと向かいました。

 コミュニティビジネスとは、地域資源を活かしながら地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組むものであり、地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用することにより、地域における新たな創業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与するものと期待されているもので、全国的な広がりを見せる地域づくりの手法です。このコミュニティビジネスの先駆的なモデルを作りたいと、上島町を舞台に奮闘し、先ごろ地域住民が出資し1千万円を超える資本金を集めて、カフェをオープンさせました。短い期間で島民との人間関係を構築し、ここまで作り上げた兼頭さんの行動力と熱意には本当に学ぶべき点があります。元々地元でない土地で、ここまでやってのけるパワーにはまだまだ自分の行動力不足を思い知らされます。
 カフェは上島町役場の近くの民家を改修して作られ、地元で取れた野菜のサラダや地魚を使ったパスタ、はちみつカレーが主なメニューです。この日は地魚パスタ(ちなみにこの日はスズキでした。)をいただきましたが、スパイスの効いた大変美味しいパスタでした。次回は「はちみつカレー」を頂きたいとおもいます。決して一流の接客ではありませんが、これが地域の人が手作りでお店を作った証拠だなぁと思い、この素人っぽさを是非とも大切にしながら、一層地域の人のおもてなしの接待が加われば、モットすばらしいお店になると思いました。利益優先としたビジネス観点から考えるとお店の規模・スタッフ人員は運営面で結構大変ではないかと思いましたが、今後、島の特産品を開発・研究し販売する仕組みを作り、事業安定を図りたいとのことでした。これも利益追求が最優先でないコミュニティビジネスの姿ですが、まだまだ始まったばかりで、これから色々な壁にぶつかると思いますが、是非とも頑張っていただきたいと心から念願します。

 兼頭さんが行っている取り組みは、私が取り組んでいる地元の活動に大変参考になる部分も多くあります。島と山里の違いはありますが、地方の田舎の人たちは、人は大変良いのですが、今まで行政の至れり尽くせりのサービスによって、随分依存心が強くなっている傾向があります。自分たちの地域は自分たちで守るという気持ちを見直すためにも、このコミュニティビジネスの取り組みには今後も目を離せないと思いました。自分の住んでいる地域をもう一度再点検し、地域資源や人をいかにして地域活動に巻き込んでいくか?!そのヒントがこの事業にあるかも知れません。
 島で4時間近く兼頭さんと意見交換を行いましたが、貴重な時間を共に過ごさせていただきありがとう御座いました。互いに本当の取り組みはこれからです。今後のご活躍を心よりご祈念申し上げ、共に地域づくりの仲間として協力し頑張っていきましょう!
平成20年11月29日
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