第 189 号
松 下 政 経 塾
阿南フォーラム「私が、やる」をなじめよう
阿南から創る“四国・日本の将来ビジョン”に参加して
 平成22年2月7日(日)徳島県阿南市文化会館夢ホールを会場に、松下政経塾28期生、中西裕介氏が卒塾に当たっての集大成となるフォーラム【「私が、やる」をはじめよう。阿南から創る、四国・日本の将来ビジョン】と題して開催、この度ご案内を頂き参加させて頂きました。

 先ずは、中西裕介氏のプロフィールをご紹介します。
1979年徳島県阿南市の生まれの30歳で、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、UFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行、4年間中小企業の法人営業部に所属し、日夜努力する様々な経営者と公私に渡るお付き合いをするうちに、「経営の奥深さ」を痛感します。企業も経営だが、社会の経営は政治そのものだという松下幸之助の著書に出会い、退職し2007年に第28期生として松下政経塾に入塾。故郷の四国・阿南を念頭に、自治体経営・産業振興・水環境問題にテーマを定め研修活動を行います。全国のまちづくり調査を行う傍ら、茨城県高萩市、福井県越前市などで住民の方々と地域活性化策を検討し提言書をまとめる等の活動を実施されています。(阿南フォーラム資料より)
 松下政経塾では研修活動3年間の活動成果の発表を活動拠点となる地域で開催することになっており、今回中西さんもそのフォーラムを卒塾後の活動拠点となる地元阿南市で開催されたわけです。フォーラム冒頭では、阿南中学校箏曲部の演奏が行われました。中学校の部としては珍しい部活動ですが、全国大会に参加する常連校とのことで、その実力は大人顔負け!!とても素晴らしい箏の音色でフォーラムの幕が上がりました。

 次に開催主催者である松下政経塾の佐野尚見塾長より開会に当たってのご挨拶が行われ、松下政経塾の活動についてのご説明も含めたお話がありました。その後、松下幸之助氏の次代に託した思いがVTRで放映され、本日の主役である中西さんによる塾生発表が行われました。中西さんは「この地域に生まれ、この地域に生きる」と題し、自らの志と今後の方向性や活動について、その熱い思いを発表されました。中西さんは、今まさに四国の時代であると確信、一人一人の思いや行動が積み重なり歴史や時代を動かし、互いに尊重しそれぞれを活かし合ってこそ、大きな力となり、その第一歩を故郷徳島県阿南市からスタートさせるのだと、その決意を述べられました。その発表する姿は堂々たるもので、今後の活動への大きな希望と志を感じ取ることが出来ました。これまでの活動を通じて、地域の人々との係わりが一番大切だと感じ、問題の先送りではなく、自分たちの出来ることを今考え行動し、志の国と書いた「志国州」(しこくしゅう)を作りたいとの夢を語りました。

         

 次に、ビデオメッセージが松下政経塾OBの総務大臣の原口一博氏と高萩市長の草間吉夫氏より送られ、パネルディスカッションに移ります。中西さんがコーディネーターとなり、元山口市長の河内山哲朗さんと徳島県上勝町長の笠松和市さん、NPO法人グリーンバレー理事長の大南信也さんらにより「社会の経営を考える」と題して、それぞれの活動紹介やご意見を聞かせて頂きました。河内山さんからは、16年間の市長経験を通じて、年々若者が段々元気をなくしていて、高齢者が元気でいることと同様に、若者も元気がある社会づくりが重要であり、先々への不安や見通しの暗さを払拭し、田舎を元気にするためには、先ずは社会保障制度の見直しが重要であるとの意見が延べられました。笠松さんからは、PHPを愛読し、勇気をもらい心温まる思いになっていて、真・善・美に生きることを肝に銘じていて、上勝町の取り組み等の事例をご紹介しながら、地方行政を司る立場から現在の国には国家目標がなく、対策はあるが政策がないと、現状についての厳しい意見提言がありました。大南さんからは、戦前に送られた地元に残るペンシルバニアから寄贈された人形のルーツを探る企画をご紹介され、一体の戦火に耐えた人形が、小さな町を動かす原動力になっており、事業の実施に当たっては、行政任せにせず企画の段階から係わることの重要性をお話され、事業推進のモットーとして「金を動かすのではなく、人の心を動かす」ことを常に心がけているとの意見発表がありました。いずれも、興味深く大変参考になる事柄であり、活動へ向かう皆さんの考え方を伺い知ることができました。

 フォーラムの最後に「私の四国アクションプラン」と題して、中西さんの仲間であり色々な形で徳島と関係のある企画を進めている4名の方々から活動発表がありました。発表されたのは、ホームアイランドプロジェクト代表の伊藤智子さん、潟Xマートエナジーの岡田育大さん、阿波古事記研究会の新居洋子さん、横浜国立大学3年生の高松真実子さんです。それぞれ、四国に係わる様々なイベントを企画され、徳島を全国に発信する活動内容を紹介されました。閉会に当たり松下政経塾の古山塾頭よりご挨拶があり、塾生として活動するより、社会に出て活動することの方が厳しいことのお話を中西氏に贈られました。

 フォーラム終了後、会場を変えて懇親会にも参加させていただき、会場では徳島の物産や名産品の紹介や阿波踊り等が披露され、徳島一色で会場を盛り上げていました。また、松下政経塾の佐野塾長や古山塾頭ともご挨拶することができ、一度松下政経塾へも訪問させて頂くことをお約束させて頂きました。

 今回のフォーラムにご招待頂きました中西さんには、本当に有難うございました。フォーラムの企画や実施に当たっては何かとご苦労もあったと思いますが、無事盛会に行われ本当におめでとうございます。このフォーラムを弾みにして、是非とも地元から日本を変える活動を推し進めて頂きたいと思います。私も今回のフォーラムで様々な地域活動を進めている方のお話を聞き大変参考になりました。皆さんの行動力に多くの学ぶべきものを見つけることも出来、大変有意義なフォーラムであったと思います。中西さんには、今後の活動を通じて一緒に地域のために取り組めれば幸いに存じます。

 最後に会場でお会いできました全ての皆様に厚く感謝申し上げます。
平成22年2月7日
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