第 230 号
上村珠美さん来塾
 平成24年11月3(土)有限会社エッグプランニング取締役社長 上村珠美(カミムラ タマミ)様が来塾されました。

【プロフィール】
 地元広島のモデルコンパニオン会社に所属し、モデル・フリーアナウンサーとしてご活躍され、‘98年に所属事務所から独立。個人事務所オフィスエッグプランニングを立ち上げ、3年後に法人となる。有限会社エッグプランニング取締役社長に就任、事務所スタッフ3名、登録スタッフ約100名の登録、独立から14年目を迎えるオフィスを運営する、母親・長男の嫁・サイクリスト。10年前より、潜在性二分脊椎・脊髄脂肪腫という、脊髄の神経が圧迫される難病で下肢麻痺がおこり、障がい者となる。

 事前に車イスで移動されていると聞いており、また石川県倫理法人会での講演の記事、自転車に乗っていることより、足首から下が不自由なのだろうと想像していました。
 さて、来塾日が決まったものの、塾の部屋は2階です。コンクリートの土間を1段、階段を17段上がらねばなりません。どのようにしたものか・・・。部屋までの案内で簡単と想像できる方法は、おんぶすること。しかし、障がいのある方は、おんぶされることを好まないことを、小学校高学年くらいから機会あるごとに父親(3歳で小児麻痺にかかり、両足が不自由で車イス)から聞いており、本人の快諾がないとできない方法と思いました。
 次に考えたのは、2人で両サイド肩を貸し、足(足首からふくらはぎ辺り)を持ち上げる人が1人、3人で介助し、1段ずつ上がる方法。もう1つは、車イスで1段ずつ上がる。前輪を1人が1段ずつ上げて(引くようなイメージ)もう1人が後輪を1段ずつ押し上げて上がる方法。4人で車イスを持ち上げると、ねじれてフレームが歪み、車イスが折りたたみにくくなるので、車イスを利用している方は、この方法を好まないことも、よく聞いていたので、4人で持ち上げて上がるのは好ましくないと考え、前後1人ずつの2人(息を合わせることからも、最小人数が好ましいと)と考えていました。
 いずれにせよ、介助や介護の基本は、受ける側の立場に立って、受ける方の希望に沿ってお手伝いすること。決してする側の都合や、過剰なお手伝いは、かえって迷惑になることもあると、最近学びました。いざ当日、黒のワンボクッスカーから杖(スキーのストック)をついて降りてこられる、上村さんを見て、これまでの心配が吹き飛びました。万が一滑っては危険と思い、後ろで支えられるように付いて上がりましたが、これも心配無用でした。(先日習った、支えたときに、傷つけないように腕時計、指輪、アクセサリーを外して)慣れたものでした。それほど不自由さを感じないほどに、階段を上がりきった様子を見て、かなり大変なリハビリをされたことだろうと想像しました。杖などを、ご主人様に持ってもらう時に「ありがとうございます」とおっしゃられたのが、印象的で、先日の「日本一無口な講演会」の「ありがとうの話」を思い出しました。家族にも最上級の感謝の表現が大切と再確認しました。
 部屋に入り、どのように自転車に乗るのか実演していただきました。トゥクリップや競技用の靴、足首のテーピングを見せていただき、自転車を漕いでいる様子が分かりました。軽く足を上げ、サドルにまたがる様子を見て、驚きました。全く不自由さを感じなかった。試合中に靴が外れないハプニングがあれば、思い切って転んで止まります。そのために肘や足にガードを付けていると、説明してくれました。
 自転車との出会いは、昔を思い出し、もう一度自転車に乗ってみたいと思ったから。赤ちゃんの成長と同じような感覚で、一つずつチャレンジした。自分の経験がどなたかの役に立つのでは? と思い、新聞社に自分から取材を申し込んだ。
 自転車を通じて、世界が広がり自分を出し切る、さらけ出す勇気を持て、ふさぎ込んだ自分から抜け出せた。この障がいのある自分でいいと、認めるのに何年もかかった。認められたから、今の自分がある。足が不自由になったが、しばらくしてこのまま落ちてはいけないという思いが一杯の時に、自転車と出会えた。誰しも何かしらで落ちてしまった時、這い上がりたくなると思う。あえてハードルを高くして、自分を試してみたくなって挑戦した、ツール・ド・のと。完走して大きな自信につながった。
 いい意味でプレッシャーをかけることが必要。常に上を見つめることが必要と感じています。と、おっしゃる、上村さんの次の目標は、トライアスロンに出場すること。すでに、動き始めていると・・・、1人4役をこなす上村さんの生きるパワーは凄いと思い返したり、フェイスブックを見るたびに、計り知れないパワーに憧れます。
 自転車に乗る最初の1歩がどれだけ恐ろしかったろう・・・。華やかな経歴のなかで障がいに合われたときの、悲しさ、辛さは、どれくらいだったのだろう。私には計り知れない。
 人は落ちた時に、落ちて潰れてしまうか、這い上がるかだと思う。這い上がるためには、落ちてはいけない、這い上がろうとする思いが大切だと感じた。そうすることで、良き出会い御縁に恵まれると思う。最初の1歩の勇気、0か1かの事実、2と3は、差ほど違いはないが、0と1は雲泥の差がある。1になれば2にも3にもなる。
 上村さんとのご縁で、また1つ勇気をもらえました。まだまだ日々の研修が足りず、もがいてばかりですが、どなたかが相談に私を訪ねられることがあれば、精一杯応えられるように、経験やヒントをお話できるように、勇気、最初の1歩などを意識し人生を楽しく生きられるよう、まず行動!迷ったら行動!と、以前よりも強く思えるようになりました。
 これまでたくさんの方に支えられて、今の自分があります。人生の折り返し地点を過ぎ、今後はどなたかの支えになれるようになりたいと思う。それには前を向いて、人生楽しく。楽しい所にはプラスの要素が自然と集まってくるはず。

 今回も貴重な体験談を聞くことができ、勉強になりました。ありがとうございました。日増しに思いますが、四国政経塾とご縁があり勉強できること、感謝しています。
平成24年11月3日
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