第 63 号
明日の為に・・・【認め合う心】
 5月29日() 徐 英洙氏(※注)からの「小規模で良いので一般の日本人の方と、日韓の事についてお話をする機会を持てませんか?」と言うご要望があり、四国政経塾で声をかけた結果、16名の参加者が集まりました。

 午後3時、場所は四国政経塾。和やかな雰囲気で会は始まりました。簡単な挨拶の後、今回の交流会を企画し、徐氏とも長年お付き合いをされ、西条市で会社を経営されている徳永社長から「まず韓国の方たちが、なぜこんなにも怒っているのか、その原因を聞いてみましょう。」と言う提案があり、徐氏がゆっくりと語られました。体験談を交えての、過去に日本が韓国に対して行った非道な所業の数々は実に生々しく、場の空気が静まります。海に囲まれた日本とは違い、地形的にも太古の昔から他国の侵略に苦しんだ韓国。植民地時代の抑圧の中で、韓国の人々の心中に蓄積された【恨=ハン】(怒り、痛恨、悲哀などの感情)が重く伸し掛かって来ます。もし私や私の家族が、同じ目に合ったとすれば、私自身、怒りで我を忘れることでしょう。その事を考えると、私たち日本人は韓国の方々に心の底から謝罪しなければなりません。しかし日本の過去を全て否定的にとらえ「日本が何でも悪かった。」と日本人自らが自虐的になるのはどうでしょうか。これからの日韓の事を真剣に考えるならば、両国間にある“暗い過去”という呪縛を今こそ解くべきです。

 両国間の数ある問題の中の一つとして、歴史教科書問題があります。日本の歴史教科書の記述に「歪曲、隠蔽、縮小、事実誤認などがある」といって韓国側が修正を要求するといったものですが、その韓国の国定教科書は日本を悪者として捉え、徹底した反日教育が行われ、まるで日韓戦争があったのかと錯覚を受けるほどです。また、ベトナム戦争の際、米国からの経済援助と引き換えに派兵された韓国軍は、ベトナムで民間人虐殺などの戦争犯罪をしてきたと聞きますが、韓国の国定教科書は、中学・高校ともに、そのことに関しては一行しか記述されていないらしいのです。数年前、韓国で日本の統治を肯定的に捉えた評論集(韓国人著)が「青少年有害図書」として発禁処分になったのですが、表現の自由に対する侵略を、政府が行うというのも驚きです。韓国のその行為は「歪曲、隠蔽、誇張」にはならないのでしょうか。靖国神社の問題にしても、日本の為に尊い命を捧げた先祖が祀られる、正に「日本の神髄」とも言えるこの神社を、一国の首相が参拝をすることが、そんなにいけない事なのでしょうか。「日本は過去を清算し、謝罪すべきだ。」と韓国の方は言いますが、大都市の広島、長崎に、大量殺戮兵器である【原子爆弾】を実験的に落とされ、日本本土をB29で爆撃され、沖縄では民間人が虐殺されても、日本は敗戦国であるが為に米国に抗議や謝罪を要求してはいません。植民地時代に日本は韓国に対して非道な事もしたでしょうが、投資や開発や教育も行い、韓国に近代化ももたらしたと私は思っています。そもそも人間とは【善と悪】の両方を併せ持った曖昧な存在であり、戦争とはそれ自体が非常事態の狂気の沙汰のことです。そこには世界情勢や国と国との力関係など、どうにもならない状況が発生し、避けられなかった戦いもあったでしょう。私は戦争を肯定しているのでもないし「日本がこうだったから韓国もこうすべきだ。」とか「韓国のここがおかしい。」と言っているのではありません。双方の粗を探しあい、罵り合っていたのでは、両国にとって有益ではないでしょう。大切なのは、マスコミから与えられる「偏った情報」を鵜呑みにして、反日感情という言葉の如く【感情=単に好き嫌い】で判断するのではなく、国を動かす両国民は、正しい知識と判断に基づいて行動すべきではないでしょうか。
 参加者からの「じゃあ、どうすれば韓国の方たちの怒りが納まるのですか?」の問いに、徐氏からは「天皇が謝罪する事です。これは国民の代表的意見として聞いて下さい。」との返答があり、少し残念に思いました。私は韓国の姉妹塾「機会の学塾」との交流勉強会で、韓国を二回訪問したのですが、たった二回でも韓国の方の【情の深さ】は、痛いほど心に伝わって来ます。その情の深さが、ネガティブな方向に向くのではなく、両国の明日の為に注がれる事を心より祈るばかりです。大切なのは、双方の良い所を認める事。そして自分で見て、聞いて、考えること・・・

 最後になりましたが、韓国からお越し頂いた徐氏を始め、お忙しい中、交流会に参加して下さった皆様、今回一人の日本人として、大変に貴重な時間が持てました事を感謝いたします。
有難う御座いました。

             

  ※注)
徐 英洙氏 76才
日本植民地時代・9年間:小学校1年〜中学校3年
1950年〜1955年:韓国戦争・陸軍 UN軍連絡将校
           (陸軍大尉)
1961年〜1967年:国務総理企画調整室・企画官
1982年〜 現 在 :大英通商 社長
研究・著書
国際関係論・韓半島問題
北韓の南韓侵略用 地下トンネル問題
平成17年5月29日
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