第 65 号
雲中の飛龍・方谷先生の思いをかたちに
 平成17年6月26日(日)岡山県高梁市にある高橋総合文化会館にて、「雲中の飛龍・方谷先生の思いをかたちに」というテーマで、山田方谷先生の生誕200年記念行事が行われました。

 山田方谷先生とは、心の学び「心学」と言われている陽明学に深く傾倒された方で、この日が方谷先生のご命日に当たるとのことで、先ずは山田方谷先生を偲んで黙祷が捧げられました。方谷先生の紹介と詩の素読が、岡山大学名誉教授の広常人世先生から行われ、高梁市市長や地元県議等の来賓挨拶がありました。その後、高梁高校コーラス部による歌が披露され、会場に澄んだ歌声が響き渡りました。訓練された人達の歌声は、なんとも言えない感動を覚えます。カラオケとは一味違いますねぇ。

 次に方谷先生をテーマとする演劇が、吉備国際大学演劇部により上演されました。内容は、今の時代に掲げられた問題を、方谷先生の意志を告いだロボットが、苦難と戦いながら解決していくものです。今の社会における身近な問題を、人間たちが、自らいかに考えていかなければならいのか?!うまくいかないことを、全て回りの人のせいにして、自分が何もしなければ、回りも何も変わらないことを、分かりやすく上演されていました。今も昔も人の心は変わらない。いま自分が何をすべきかを考え、実際に何をしなければいけないのかを、強く感じさせられた大変よい演劇でした。

 次に「心あるところに宝あり」と題して、イエローハット創業者であります鍵山秀三郎先生よりご講演がありました。鍵山先生は、掃除の実践を通じて心を美しく日本を美しくする活動をされています。この日も、午前中は高梁市内のトイレ掃除の活動をされていたそうです。先生のご講演では、小さいことから着手し、それをやり遂げること。そして、これに満足せず成長しつづけることが、大切であるとのお話でした。継続する中で中傷されたり非難される虚しさもあるが、その中で身との戦いが大変であるとおしゃっています。また、今の世の中に有能な人は多く、また、人のいい人も多いが、有能で人のいい人は少ないと言っています。今の世の中が悪い状況になっていっているのは、全ての人の責任であって、それを何もせずに傍観しているのも、悪い方向へいく手助けをしているのと同じである、とのお話がありました。自分にとって益のないことにも取り組みことも大切で、飯の糧にならないものが、心の糧になるのであるとのお話でした。難しい言葉を使うわけでもない、飾らないお人柄が良く分かるご講演でした。

 最後に「私たちは方谷先生の思いを胸に、今何を為すべきだろうか」とのテーマで、シンポジウムが開催されました。それぞれ方谷先生に縁のあるパネラーの方々が、それぞれのお立場での考えを述べられていました。コーディネーターは代議士(衆議院議員 小野晋也)が行い、人間が元来持つと言われる「良知」を如何に修めるかを議論されていました。「良知」とは、穏やかに人を受け入れることが出来る状態にあることを言うのだそうですが、中々奥の深い難しい問題であると思いました。

 同行されている方との時間的制約もあり、シンポジウムの途中で会場を後にしましたが、岡山の高梁市にきて大きな収穫があったように思います。自分の為すべきことをきちんと見つけ、実際に行動に移していかなければいけないことを、改めて強く考えることが出来ました。これを機会に今後の方向も見えてきたように思えた、大変有意義な一日でありました。
平成17年6月26日
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