第 68 号
韓国ソウル研修に参加して

 10月7日から9日にかけての3日間、四国政経塾による韓国研修に同行させて頂き、韓国情勢の視察を行って来ました。20年程前に一度観光で訪れたことがありましたが、それ以来の久々の訪韓です。

 現地へ到着しての第一印象は、ここ20年の間に町が著しく様変わりしたという事です。車の台数も当時とは比較にならないくらい増えていて、ソウル市内の慢性的な渋滞にはとても驚きました。聞くところによると土日祝日などは、奇数・偶数ナンバーで市内への乗り入れ規制もある程とのことです。また、以前訪れたときには、表通りは大変綺麗に整備されていましたが、一歩路地を入ると貧困に喘ぐ厳しい生活が伺い知ることが出来たのですが、現在では高層アパート(日本で云うマンション)が所狭しと立ち並んでいました。空港も郊外へ移転され、市内へと繋がる電車整備が急ピッチで進められる等、当時の面影は全く感じられません。ここ数十年での経済成長の著しさをかい間見ることができました。しばらく車に揺られながら市内に入りふと気が付いたことは、大きな通りに必ずと言って良いほど韓国国旗が掲げられ、さながら一昔前の日本の祝日を思わせる様な風景が続いていることです。これも一つの政策だと後で聞きましたが、韓国では、こうしないと愛国心を保持出来ない状況だそうです。あまり過激になってもいけないとは思いますが、わが国では祝日に国旗を掲げる家が見えなくなりましたよね?!強制すべきものではないと思うのですが、国を愛する気持ちと微妙に関係しているように感じるのですが、いかがなものでしょうか?!町の様子を見ながら、そんなことを考えていました。

 二日目は、同行者のお知り合いである会社社長さんとご面談の後、古宮にある民族資料館を見学しました。王朝時代の優雅な建造物や資料を見ながら、何かしら日本文化のルーツを感じさせるような、懐かしさのようなものを同時に感じました。ハングル以前には漢字文化であったことからすれば、中国・韓国・日本の友好関係に繋がる一つのヒントになるものがあるように思えたのです。実際に漢字による交流研究も進められていることを、この時初めて知りました。資料の説明は全てハングルのため、殆ど視覚的に見て回ることしか出来なかったのが残念ですが、これを機に韓国語を勉強することも考えないといけないと思った次第です。館内を回りながら見ていると、随分親子連れが多いことに気が付きました。しかも年頃からすると5〜6歳かと思われるような小さい子供が、親と一緒に資料を見ながらノートに記録している様子が各所に見受けられるのです。どうやら親が子供に説明しながら勉強しているようでした。ここでも、内容は別として現在の日本との違いを感じさせられました。親子で資料館に訪れ勉強するという光景を日本で余り見たことがない私にとっては、随分新鮮な風景に見えたのです。現在の日本の教育に問題や疑問があると感じている人も少なくないと思います。親子で学ぶ姿は今後の地域教育や家庭教育を考えるうえでも、大変大切なことではないかと感じました。

            

 その日の夕刻には韓国戦争の時に陸軍大佐をご経験し、韓国国防省にも勤務されていた徐さんと面会し、日韓関係について夕食を取りながら議論しました。韓国から見た日本政府の対応には誠意が全く感じられないとのことで、古くは豊臣秀吉の朝鮮出兵にまで遡り、日本の韓国に対する非道さを訴えておられました。正直私自身は明治時代以降の日本の歴史については、戦争があった程度にしか学んでいませんから、真実がどうなのかは正直わかりません。しかしながら日韓の歴史教育に随分隔たりを感じたのと同時に、激しい感情の溝は簡単に埋めることは難しいと感じました。歴史観があまりにも違い過ぎて、議論が噛み合わないのです。互いに互いを認め合う気持ちがなければ、議論は平行線を保ったままですから。しかし、このことが一つのきっかけとなり、徐さんの言う誠意とはどのようなものかを考えていくことも、今後の日韓関係には重要な課題であると感じました。

 最後の日には戦争記念館を見学しました。日本の靖国神社にある遊就館では、戦争の悲惨さが全面に出され、二度と同じ過ちを繰り返さないという気持ちになるのですが、韓国では武器や戦争の記録が主であり、軍備の発展記録のように思える展示品が多くありました。説明資料の意味は理解出来ませんでしたが、展示物から伝わってくるのはそういった感覚でした。国が違えば文化も違いますから、一概に日本の感覚を押し付けてはいけませんが、互いに尊重し合う交流を深めれば、きっといずれは分かり合える時がくると信じたいです。言葉や文化は違っても、外観は全く違いないアジア民族ですし、多くの課題があることは確かですが、民間交流からの異国間交流により、もっと身近な関係になれるのではないかと思った旅でもありました。

平成17年10月10日
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