第 93 号
韓国ビジネス交流の可能性を探る
 平成18年7月13日〜15日の3日間、韓国ソウル市へ出かけて参りました。韓国釜山市にある「機会の学塾」と我々「四国政経塾」との今後の交流を一層深めるため、ボランティアのみならず相互にビジネス交流を探求しようというのが目的であります。今回のソウル行きに至った経緯は、これまで「機会の学塾」との交流を始め、「四国政経塾」の活動の中で環境問題に取り組んでいる諸団体の方々との巡り合いに単を発しています。前回の訪問時に機会の学塾卒塾生のキム社長のご提案で、プラスティックや紙製品である現在のトレイ・お皿やスプーン・フォークなどを、トウモロコシのデンプンを利用して製品開発販売していることをご紹介頂いたことから、日本で現在問題になっている割り箸問題に着目しました。これまで、韓国の爪楊枝がデンプンで作られていることや、海藻から紙を作る技術など、木に変わる材質を色々研究していたことも大きな要因となっています。

 出発前に割り箸について色々調べてみると、現在多くの人が何気に使っている割り箸が、日本の使用量の90%は中国からの輸入であることや、日本人が年間一人当たり200膳当たりもの割り箸を消費していること、また生産国の中国では材料になる木材の伐採が原因で深刻な環境問題を引き起こしていることなど、多くのことを学ぶことが出来これらのデータをまとめ韓国に出かけました。今回は連休前と言うことやチケットの関係で、岡山空港から出発となりましたが、韓国初日はホテルに到着したのが2時過ぎとなり、工場見学や商談には時間が中途半端なこともあって、小休憩の後に韓国ソウル市で韓国の民芸品や小物などを見て歩きました。小物を少々購入し四国中央市の川之江市にある四国中央ドットコムで、少しからでも韓国のピーアールをしようと言うのが狙いであります。初日は次の日に備え早めに休み翌日の商談に望みました。

 翌日はホテルにキム社長・シム社長・KYEU社長の3名の社長さんがお出迎え下さり先ず工場見学に向かいました。ソウル市内から車で1時間30分ほど移動したところに工場があり、最初に見学したのが従来のプラスティック製品等も製造している工場でありました。工場ラインは紙の生産と大変良く似ており、プラスティックの原反ロールを金属製の型枠に充て、真空状態にして型取りし成型加工するものでした。原反を作る時にトウモロコシを原料としたチップ状の物を入れることで、環境に優しいトウモロコシ原料のプラ製品が出来上がる工程がよく理解出来ました。正しく「百聞は一見に如かず」であります。見本を実際に燃やしてみると、煙がプラスティックのように黒くなく、匂いはトウモロコシの甘みある香りがしてきます。隣には、別の機械で別の商品も成型しているとのことで見学をしました。これらの2つの会社は別々の工場であり、下請けで容器の製造を専門にしている工場であるとのことでしたが、生産工程を見学すると、機械化がまだ十分に進んでおらず、随分人の手が入っており、日本のように機械化による設備投資で、人件費の削減を図りコストダウンするという経営手法は、まだまだ未開発の部分があることが解りました。ここまで見学をしてきて既に5人の別会社の社長と面談したのですが、共同出資の会社であるとの話は聞いていたものの会社形態が良く理解出来ないでいたのですが、次に訪問した会社でその謎が解けました。
「SK NetWork」という親会社が大株主となり「Ecol-Green RLA」という会社を設立し、その子会社として「Mal Gun Nu PT」という会社を設立しています。この「Mal Gun Nu PT」に9名の会社が出資し共同経営されている会社でありました。「Ecol-Green RLA」代表理事であるLee社長も交えて、環境商品について是非日本に取り入れてみたいことや、割り箸の製作について今後、共同研究することなどを話し合うことが出来ました。以前より割り箸については、日本からいくつもの提案がなされてきたとのことでしたが、いずれも単価的な問題がネックで実現していないとのことでした。単純にビジネスだけ見れば確かに難しいものかもしれませんが、現在のように地球規模で環境問題を考える時、決して実現できないものではないということ、画期的な商品の重要性を前面に打ち出し、環境維持に不可欠な付加価値をつけることの方が大切ではないかと思った次第です。韓国ビジネス交流と環境問題解決の第一歩を韓国の地で踏み出した瞬間と実感しています。
 この日移動の途中でイムジン川の傍を通過しました。あと数十キロで北朝鮮というところを通過しながら、川岸のフェンスに警備兵が見張りにたっている姿が目に飛び込みました。日本にいると忘れがちですが、韓国と北朝鮮は同一民族とは言いながら、やはりまだ戦争が終わっていないのだと改めて実感した次第です。
        

 最後の日は韓国市内の国会議事堂や大統領官邸周辺の見学をしました。国を代表する建造物だけあって、さすがにその風格たるや見るものを圧倒する迫力があります。警備兵も常に配置され、厳重な警備を行っています。なかなか見る機会がなかったので、大変よい経験となりました。

 この度も韓国ソウルでは、多くの方々にお世話になりました。出会えた全ての方々に感謝申し上げ、今後とも相互交流を更に深めることが出来るようご指導ご鞭撻をお願い申し上げる次第であります。
平成18年7月15日
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