山 本 豊 先 生 に 同 行 し て

 伊予三島の子どもを育てる市民会
山本豊先生のプロフィール
昭和32年 宇都宮大学学芸学部教育学科教育学専攻卒業
栃木県内の小、中学校で20年間教職
昭和52年 栃木県教職員協議会事務局入り
昭和59年 全国教職員連盟結成により、初代事務局長に就任
日本教育文化研究所理事長として教育の正常化運動に尽力
平成8年 退任
現   在 社会法人全国教育問題協議会常任理事。
財団法人教職員福祉財団参与。
日華文化協会理事として活躍中
著    書 「教育正常化運動30年の軌跡」他
稲の成長に必要な肥料には、稲の苗床に与える肥料(基肥)と、稲
が開花するときに与える肥料(追肥)の二通りあります。与え方を間
違えると実は結びません。人間も同様です。大人が「教育」と「飼育」
の違いをしっかりと見つめて育てて行かなくてはなりません。
議の代表三宅氏より、「幼児教育を したいのだが、いい講師はいないか?」との問い合わせがあった。保育園・幼稚園の先生方より「親が子どもの育て方を知らない。」という意見が出たそうだ。現在は社会的に、核家族化が進み、おじいちゃんやおばあちゃんに教えてもらうことができず、また、親が育った環境が、高度成長期に当たるため、夫婦共働きの家庭が多く、親と接する機会が少なくなりまともに教育を受けていない。近所付き合いも少なく、相談する相手がいないなどさまざまな原因が考えられる。この問題を重要視し、とりあえず教育の現場で親と接する機会の多い保育園・幼稚園の先生方を中心に講演を行うことになったそうだ。
 四国政経塾では、こういう問題に多くたずさわっている、全国教育問題協議会常任理事の山本豊先生を、松下政経塾の甲斐氏と、小野晋也代議士より紹介いただき講師に招いた。当日、高松空港へ出迎え講演までの間、四国政経塾の大和田氏と共に、新宮のヤングリーフハウスへ案内した。その道中、現在の教育についていろいろな話しをした。現在問題になっている登校拒否問題においては、マスコミや学校等の発表によると、ほとんどがイジメが原因となっているが、私たちが直接本人や家族の人たちに調査した結果、学校内での友人や先生との関係がうまく行かないという原因が多いということがわかった。また、現代社会では、少子家族が多く、子どもの人権を尊重し、個性に合わせた教育や対応、親の過保護などにより、無気力・無関心な子どもが多くなり、塾へ通ったり、家庭用ゲーム機の普及により、家の外で遊ぶ機会が少なくなり、昔のように遊びを通しての社会勉強や集団生活を会得できない子供たちが増えている。また、何かの壁に当たったとき、それを乗り越えるのではなく、回避(逃げる)してしまうようになった。その結果、むやみに人を傷つけたり、限度がわからないため殺してしまったり、また、自殺するといった現象になっている。私たち四国政経塾でも、このような問題をとても重視しており、将来の日本を背負ってもらう子供たちに、感謝と尊敬の気持ちを持ってもらいたいと活動を始めようとしていることなどを話した。山本豊先生は、この話しに対し同感であり、将来のことを考えての行動を称賛してくれた。
 ヤングリーフハウスで、小野晋也代議士と合流し、ヤングリーフハウス建設のいきさつや支援者の方々の協力により実現したこと、なぜこの地に建てたのか、これからどのようにしていくのかなどの対談をした。山本先生は、小野晋也代議士の夢の大きさと、このような活動が実際に金銭抜きで行われているということに感動されていた。
 その後、伊予三島市に到着し、伊予三島市教育委員会委育長斎藤氏・PTA連合会会長高岡氏・三宅氏と夕食を取り、講演会場へ。講演は、伊予三島市福祉会館でP.M.8時より行われた。その前に「伊予三島の子どもを育てる市民会議」が行われていたが、その人達以外に40人ほど(保育園・幼稚園の先生方)計80人ほどの人たちがこの講演に参加してくださった。講演は、「子どものよりよい成長を願う −心の叫びが聞こえますか− 」という演題で約45分の予定だった。内容は、以下のとおりである。
国づくりの基礎のなかで、教育は重要なもの だ。人間の前頭葉は、脳の33%を占めているが、チンパンジーでは11%・猿では3%である。成人の脳は、約1.400cだが、生まれたときが400c、1才で800c、6才で1,050c、10才で1.100cに成長する。また、脳の発達には、段階があり、乳児期は感得期、幼児期は体得期、青年初期は知徳期、青年後期は覚得期になるそうだ。3才までに脳の大半ができるため、幼児期の教育は大切であり、母親が子どもに接する態度がとても重要である。子どもは、五感(視・聴・臭・味・触)を通して成長していくため、親の接し方次第でどんな人間にでもなる。「三つ子の魂百まで」という言葉があるが、心の教育は、3才までの躾がいかになされたかによって、その子の人間形成の土台ができていく。家庭の中の躾は、
  @ハイという返事、
  Aあいさつをきちんとする、
  B椅子をきちんとかたずける、
  C靴を揃える、
という4つのけじめを教えることである。
 現在の親は、自分の子どもを自分のパターンに当てはめる(親のエゴイズム)人が多い。親が本当の愛情を通して、子どもの心を開けないと心は通じ合わない。仮装の親や教師は、子どもに見破られるのである.「教育」ではなく、親と子どもが共に育つ「共育」が重要である。10個のうち9つほめて1つ叱る事により、子どものよいところが伸びていく.結論は、「よいことはよい。悪いことは悪い」と言える親になることが重要だということだった。
 最後にこの講演のまとめとして、チリのガフリエラ・ミストラル(ノーベル賞受賞者)の詩を引用して講演を終えた。
    我々は必要とするものが多いが、
    それは先にのばせる。
    しかし、子どもは待てない。
    今この瞬間も子どもの骨格は形づくられ、
    その知能は発達し続ける。子どもにとって明日はない。
    今しかないのだ。
    我々は、子どもの今を奪い続け、
    童心をも忘れ去っているのではないか。

 講演を終えた山本豊先生は、夜の8時に大勢の人たちが、教育問題に興味を示し、講演を聞いて下さったことに対し、愛媛県は教育では先進県だがこれほどまでとは・・・、と感動していた。しかし、山本豊先生も、興奮して約1時間の講演になったが、たった1時間という短時間であったため進み方も早かったと思うし、山本先生の言いたかったことが十分に傍聴者に伝わっていなかったように感じた。教育問題は、奥の深いものであり、完全なマニュアルが内という難しい問題だと思う。子供たちが伸び伸びと、人間として育っていく環境をつくれる社会にするために、今後も、このような教育問題を取り上げての講演やディスカッションができる場を、四国政経塾として、つくって行きたいと思う。
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