韓国釜山市「機会の学塾」交流
 平成19年6月28日(木)〜30日(土)の3日間、韓国釜山市に拠点を置く「機会の学塾」との交流に出かけました。体調を崩して初めての遠出であったので、幾分かの不安を抱えての出発となりました。韓国は梅雨入りしており滞在期間中スッキリしない天候が続いた事もあって、時折頭痛と肩の張りに悩まされながらも、なんとか無事にスケジュールをこなす事ができました。
 初日は関西空港まで車で移動しましたが、国内移動に約4時間・韓国への移動に1時間40分と、四国中央市と釜山市は、近くて遠い国と言った感はいつもの様に歪めません。方や人口45
0万人の釜山市(四国4県TOATALとほぼ同人口)と10万人弱の四国中央市とを直接結ぶことは無論難しい相談ではありますが、頻繁に釜山に交流に向かう我々にとっては、せめて四国からの直行便を実現出来ないか?!実に切実な願いであります。
 さて、初日は空港までいつものように学塾のOBの方々が出迎えに来てくれます。いつも本当にお世話になり深く感謝申し上げます。ホテルにチェックインを済ませ、小休憩の後、夕方に「機会の学塾」塾主ユウ先生やOBの塾生・事務局の皆さんと夕食会を行いました。韓国の伝統料理をご馳走になりました。
 夕食を済ませ、事務所へ向かい勉強会に合流します。先ずは、「四国政経塾」大和田塾頭より、講義を行いました。今回は「人間が何故生まれたか?人間の役割とは?」について熱く語りました。人類は言葉のない時代から共同生活を営んで来た。子孫を残す役割とその為の出逢いが人類に課せられた役割で、感謝し尊敬することの大切さを訴えました。動物は必要な分しか獲物を取りませんが、人間は必要以上に物を欲しがります。隣の人を大切にし、周りの人を大切にすることで、引いては国と国とが繋がるのである。人間が生まれた原点は、それぞれに果たすべき役目を持って生まれてきたのであると説明しました。つまりは、人の為に出来る事、人の為に尽くせる事を考え、勉強するために人は生まれて来たのであると言う事です。魂の底から行動し自分の心を向上させることで、自分自身の役割が見えてくると伝えました。残念ながら今回の通訳で、若干難しい日本語表記があった為か、何度も話を区切り確認する場面がありました。しかし意図は十分伝わったと思います。
 続いて塾生の日林君が「日本の若者について」講義を行いました。今の日本の若者について、自分自身の考えと、韓国の若者の考え方について意見交換を行うというテーマで実施しました。韓国に向かう前に、日本人の若者について塾で話し会ったことがありました。現在の日本の若者の悪い所は直ぐ言えるのに、良いところを探そうとすると中々これといった意見が出せなかったことを思い出しました。韓国の皆さんから「日本の若者について。どのようなイメージがありますか?」と問いかけると「自由奔放・綺麗で考えが深い・開放的である」と言った良いイメージの発言が帰って来ました。日本から来た我々を目の前に悪いイメージでの表現を避けた韓国の皆さんのご配慮もあったとは思いますが、見方を変えれば日林君が話したとおり「努力することが苦手で、無気力な若者が多くなった」とも言えなくはないのです。現在の若者は、欲しいものは何でも手に入り、努力して手に入れることが出来なくなっている。フリ−ターも多く、企業に属さない若者が増える事に将来的な不安を伝えました。日林君の持つ韓国の若者のイメージを次の様に伝えました。「韓国の若者はエネルギッシュで1つのことに頑張っているイメージがある」しかし、日本だけでなく、いま世界中で若者が元気でない時代が来ていると危機感も同時に伝えました。学力社会において勉強する事だけが目標となってしま
っていて、家族とのコミュニケーションの問題や、韓国では先進的なインターネット社会の問題などの、質問を交えながら話し合いました。ユウ先生から「26歳の若者の考え方としては、幅の広い良い話であったと思う」との好評がありましたが、私も相互に意見も交わすことが出来大変良い講義であったと思いました。
 私からは、本年2月より立ち上げた潟eック仲通の事業が、韓国機会の学塾とのご縁で島根県の電機メーカーとビジネスを実施出来たことに感謝の意を表し、少なからず出た売上の一部を寄付させていただきました。最後に学塾の皆さんと「出会い」という題名の歌を合唱して、出会えた事への喜びを分かち合い勉強会を終えました。

        

 2日目は海雲台区(日本で言う市)の区役所を訪問しました。区長室を訪問しBae Duk Kwang区長さんと面談しました。海雲台区は人口42万人ほどの海の側にある街で、海洋観光資源を活用した運営を積極的に実施されているところです。この10年間で10万人ほど人口が増加しているとのお話でした。映画撮影やコンベンションセンター・海洋施設やマリンスポーツなど海洋観光資源が豊で、インフラ整備も積極的に行っているそうです。年間に訪れる観光客は約150
0万人で、アメリカやヨーロッパからの観光客が近年増加しているとのお話でした。残念ながら日本からの観光客は、ここ暫く円安傾向もあって(ちなみに当日は1000ウォンが714円でした)減少しているとの事でした。
「韓国一の海水浴場である」と、Bae Duk Kwang区長さんは自信を持っておしゃっております
変わった取り組みとしては、迷子防止のために17歳以下の子供の指紋を住民登録しています。韓国でも始めての取り組みだそうです。指紋となると日本では中々難しい問題もあるように思うのですが、海雲台区では全国へ広げたいと言っておりました。
 海雲台区と四国松山市の姉妹都市関係の可能性について区長さんよりご質問がありました。これは我々が返答すべき問題ではございませんが、松山市と海雲台区との姉妹関係に一躍買えれば我々としても今回の訪問が更に意義あるものになりますので、宿題として持ち帰ることにしました。Bae Duk Kwang区長様には、公務ご多忙の中を貴重なお時間を頂き誠に有り難うございました。
 海雲台区役所を出て、すぐ近くにある2004年に開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)会場を見学しました
日本からは当時の総理大臣である小泉純一郎氏の写真等が掲載されて、会場では当時使用された会場や備品などが展示されていました。海沿いにあるドーム型の建造物で、大変綺麗に整備され海雲台区のシンボル的な存在となっています。

        

 夕食は韓国IT産業でご活躍されているヤン社長さんにご馳走になりました。ヤン社長はIT関連業界から「機会の学塾」を支えている理事の一人であります。立ち上げ当初から当政経塾の大和田塾頭と10年来の交流を続けられています。とても気さくな方で、実際には社長から会長へ就任したのですが「とうとう会社グビになりました」と冗談を言って和ませてくださいます。ビジネスの話になると、人が変わったような鋭い視線でお話を聞かせてくださいました。ヤン社長が起業した時代と現在では、情報が早くそれだけビジネスも複雑になっており本当に厳しい時代であると説明してくださいました。また、日本の規格は良いが、手続きが細かすぎるとのお話も頂きました。海外から見ると日本の手続きの細かさが、とても滑稽に見えるのかも知れません。これから企業家として会社を運営していく者にとって、実績のある社長のお話を伺えることは、大変良い勉強になります。反面その道のりの厳しさも再認識させられ、身の引き締まる思いになりした。

 今回は、いろんな「出会い」に感謝し「出会い」を大切にすることを学びました。入塾して2年弱になりますが、機会の学塾の変わらぬスタッフやOBの方々、そして塾生の皆さんとの出会いが今の自分に繋がっていることを実感しています。人生の色々な出会いと分岐点で「自分の取った選択に間違いはなし」その気持ちでこれからも奮闘して参りたいと思います。
平成19年6月30日
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