〜日韓国際交流音楽会「ソプラノ 村上彩子コンサート」を終えて〜
 11月29日から12月2日まで、個人の海外演奏会出演も初めてなら、開催地韓国も初訪問という、緊張感に包まれた4日間を過ごしました。私はこの演奏旅行中に「日本は島国であり、韓国は大陸である」ことの違いを、改めて感じるようになったのです。
 たとえば、今回のように「コンサートを成功させる」という大きな目標がある場合、関係者チームは一丸となって前向きに取り組む姿勢を崩しません。内情がどうあるにせよ、イベント成功のためには、或いは普段の自分ならあまりやらないような事でも率先していく、そういう姿勢を強く感じました。「コンサート成功」という同じ目標を持つ仲間意識が強力に思います。ひとつの大きな流れを感じました。
 この現象は欧米社会でよく見られると私は思っているのですが、サッカーなどの団体スポーツを見ていても、明らかに日本チームと違うように映るのは、誰かの失敗を誰かが見事にカバーするということです。それをあからさまにやるのではなく、何か、そういう雰囲気というか自然とそのようになっている様に思うのです。個人的な好き嫌いに左右されない何かが存在しているように思えます。また、一度仲間になったら徹底して助け合い、仲間内での足の引っ張り合いというのは、あまり存在しないと聞いています。つまり、簡単に仲間は作れないが作ったらその結束は強力であるということ、逆に日本では仲間はすぐに作れるがその結束は大変甘く、そして韓国人は明らかに欧米社会と同じ前者の感覚を持っていると思いました。
 コンサートリハーサルに入ってからの韓国の方々の動きを見ていて、「成功させる」ためのあらゆる配慮を痛感しました。やりすぎず、引っ込みすぎず、本当に純粋にコンサートを成功させる、その成功させる為に、今自分が出来ることは何か、という事を常に感じていらっしゃるのだろうなと思ったのです。この感覚に私は安心感を持ち、集中することが出来たのだと思います。「私たちがついているから大丈夫」という強さをもらえたと思っています。

       

 日本人の感覚が不安であると言うわけではないけれど、韓国は隣国だからちょっとは私たちと同じようだろうと漠然と思っていた気持ちは見事に返され、やはり日本が特殊なのだと思わざるを得ない体験が多い釜山滞在でした。
 短い時間でしたし言葉も勉強していないものですから、私が思ったことはほんの一部だしある意味偏っていると思います。しかし、今までの自分の経験などから、韓国人と日本人は姿かたちが似ているだけで根本的な精神の支えは全く異なる、という今回の感じ方は間違ってはいないような気がします。
 機会の学塾YOO理事長様や、塾生・卒塾生の皆様がどのような話をしながらこのソプラノコンサート開催に至ったのか(また、内容決定をどのようにしてすすめたのか)大変興味のあるところです。
 もうひとつ、日本は韓国ともっとコミュニケーションをとるべきだと思います。韓国を遠い国にしてしまっては、アジアで日本は孤立します。韓国を身近にするには、ハングル文字に慣れておくことが必要だと思われます。話し言葉は何とかなるでしょうけれど、ハングル文字を見慣れておかないと韓国ではちんぷんかんぷんです。日本人は、平仮名、カタカナ、漢字と扱えるのだからそこへもうひとつハングル文字を加えても大丈夫、全部でなくてもいいのですから子供の頃からもっと隣国について学んでおいた方がいいと思いました。

 4日間の演奏旅行は、新鮮なものでした。はじめから終わりまで「私たちはあなた方日本人を非常に歓迎しているのですよ」というあたたかいメッセージを常に感じながらの滞在でした。

 最後にもう一度、機会の学塾YOO理事長様、塾生奏塾生の皆様、各関係者さまに心から感謝いたします。そして、この機会を下さった四国政経塾の皆様へ、本当にありがとうございました。
平成22年12月2日
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