機会の学塾訪問 ・ 十年の重み
 10月5日から二泊三日の日程で、韓国・機会の学塾訪問へ行って来ました。今回の主な目的は、機会の学塾・設立10周年の記念式典に参加することでした。

 関西国際空港経由で韓国へ向かい、釜山に到着するとYOO先生をはじめ機会の学塾事務局の方やOBの方々がいつものように笑顔で暖かく迎えてくれます。
 ホテルへ向かう車の中から、三度目の訪問で見慣れ始めた風景を眺めているうちに、ふと思いました。「大和田塾頭は何度の風景を見て、この再会を果たしてきたのだろう・・・」私にとってはやっと慣れ始めたこれらの“いつも変わらない事”ですが、大和田塾頭や塾生の桐内さんの
、機会の学塾設立当初から十年を超える長い年月を経た交流、数え切れないほどの韓国訪問、YOO先生を始めとする機会の学塾の皆さんとの間に築き上げられた信頼と絆があって実現しているのだと思うと、敬意を覚えずにはいられませんでした。これから先、私自身が何度機会の学塾を訪問する事になっても、この気持ちは忘れずにいたいと思います。

 ホテルにチェックインして小休憩を取り、夕方から記念式典に参加しました。会場に着くとすでに200人を超える来賓で賑わっていて、YOO先生の人脈の広さはもちろん、機会の学塾の社会的認知度と貢献度を実感しました。もちろん
、来賓の皆さんはほとんどが初めてお会いする方ばかりでしたし、大学の教授や企業のオーナーなど財界の方々、学塾OBの皆さんなど、社会的地位の高い方ばかりの集まりで、その雰囲気は自分がこの場にいて良いものかと不安すら感じる程でした。
 いよいよ式典が始まり、バイキング形式の食事会の後、YOO先生や来賓の方々の挨拶がありました。当たり前ですが終止韓国語でしたので、残念ながら内容は解りませんでしたが、熱くスピーチする方々の様子や、それを聞いている皆さんの反応を見ていると、形式だけの式典ではなく、本当の意味で機会の学塾が歩んできた十年と言う月日を祝い称えているのだという雰囲気が伝わってきました。式典の中には、機会の学塾の設立・運営にあたって尽力し貢献された方々への授賞式があり、四国政経塾の塾頭である大和田良夫塾頭も見事受賞されました。舞台の上で賞を受けた時の塾頭の笑顔は、本当に嬉しそうでとても印象的でした。塾生の一員として誇りに思うとともに、日本国内でなく海外でも認められる塾頭の志の高さを心から尊敬します。式の終盤には、ミニコンサートが開かれオペラやフルートとピアノでの演奏など、普段なかなか味わえない音楽も堪能出来ました。とても暖かい十周年記念式典だったと思います。
        

 二日目は、釜山にある市立の障害者施設見学と、柔道を通じての日韓交流を検討する為の学校訪問の二手に分かれて行動しました。私は大和田塾頭、塾生の桐内さん、石村さんと共に障害者施設を見学する事となり、学校には今回の韓国訪問で同席してくださった山本市議と塾生の石川さんが向かいました。
 私が見学した釜山市立の障害者施設は、市内に七つある内の一つで、中規模のものだということでした。私は日本の障害者施設を見学した経験がないので何ともいえないのですが
、正直な意見を言うと明らかに障害者を受け入れる設備としては不十分ではないかと感じました。日本でいうと古い私営の病院・・・といった感じで、その中に職業訓練用の教室やリハビリ設備のある部屋があるといった様子でしょうか。残念ながら当日は土曜日で施設自体が休みだった為、患者の方
々とお会いする機会がなく、ほとんどの部屋は見ることが出来ませんでしたが、日本と韓国の障害者に対する認識の違いというか、意識の違いを感じました。障害者や高齢者をケアするシステムにおいては、福祉という観点で見ると日本の方がかなり充実しているし、恵まれているのではないかと思います。
 施設見学の後は、釜山の市役所を見学しました。見上げるほど高いビルで、その規模の大きさに驚きました。市役所も休日ということで、見学は一階のフロアにある釜山市全体を見渡せる細部まで再現されたミニチュア模型を見るに留まりました。その後は、機会の学塾OBの方が経営するお店でプルコギを美味しく頂き、石川さん達と合流して国際市場を散策することとなりました。夕食では、韓国カルビを頂き、今回の訪問でも韓国での食事を満喫することが出来ました。韓国滞在中いつも色んな所へ案内してくださり、毎回違うお店で食事をご馳走に成り、絶えない笑顔で接してくださる、YOO先生をはじめ機会の学塾の方々には、本当に感謝の気持ちで一杯です。

       

 夕食を終えてホテルに戻った後、大和田塾頭の部屋で塾生一同が集まり、今後の四国政経塾と機会の学塾との交流のあり方について話し合いました。十年という月日の中で、姉妹塾提携の意味を問われる時期が来ているのではないかということ、そして今の交流のあり方に限界を感じている現状をどうするべきなのかという内容です。目前に迫る課題は大きく、簡単には答えを出せませんでした。
 機会の学塾設立から今日までのYOO先生と大和田塾頭の努力は私が想像できるレベルではありません。国境を越えて二人の指導者が共有する“未来を想い、人材育成にかける志”や何よりもお二人が築き上げてこられた絆や信頼は、今後も守り続けて行くべきだと思います。
 そのためには我々塾生一人一人がどう継承し育んで行くべきなのか・・・私が四国政経塾の一員として活動するようになり1年が過ぎようとしていますが、この役目を担うにはまだまだ勉強不足だと実感しています。私に出来る事と言えば、今はまだ歴史と絆を受け止めるほどの器がない以上、やはり自分自身を磨くという答えしか出せませんが、一つだけ確かな事であり今の両塾に必要な事は、塾生同士の相互理解と意識の共有だと思います。今後の姉妹塾交流において、形式だけではない精神的な繋がりを築いていけるよう活動して行きたいと思います。
平成19年10月7日
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