訪韓記 〜出会いの大切さ〜
 先月の16日から18日、連休を利用して韓国の機会の学塾との勉強会に参加した。私にとって2度目の韓国だ。
 初日の正午、無事に目的地である釜山に到着。機会の学塾 塾主であるYOO先生と事務局の方に出迎えていただいた。みな、前回訪問時にお世話になった方達であり、久しぶりの再会を果たしたことになる。

 我々は、最初に西区役所を訪問した。これは、今年3月に県会議員に当選した四国政経塾の鈴木事務局長の表敬訪問という形で、塾頭とYOO先生が実現してくれたものなのだ。西区役所に到着すると、朴副区長をはじめとする幹部の方々から出迎えを受け、役所内を案内していただいた。私はふと、何か役所内が学校の様な造りになっているように感じ、妙に懐かしい感じがした。実はこの役所は、もとは小学校だったものを改装したものなのだ。外観も学校によく似ていたように思う。そうこうしているうちに、会議室に通された。その時、私は中央の壁に「歓迎・四国政経塾」という垂れ幕が目に入り、驚くと共に感動した。公的機関である役所が外国の私塾である我々をこのように歓迎して下さっているからだ。それぞれお互いの紹介が終わったあと、釜山市の歴史、概要の説明を受けた。港湾都市として栄えてきたことや、朝鮮戦争時には臨時首都が置かれたことなど。この小さなエリアに四国と同じ人口が密集している理由がよくわかった。それと同時に、私が住む四国は政治的、経済的にも相当遅れていることを痛感させられた。最後に、西区役所の長である金区長にお会いした。後で知ったのだが、区長にお会いするには、議員クラスであっても正式な書類や要請による手続きを踏まなければならず、当然、一般人である我々が普段お会いできる方ではないのだ。これはやはり塾頭とYOO先生の繋がりがあってこそなのだ。人と人との繋がりの大切さを改めて実感しながら西区役所をあとにした。

 その後食事をすまし、機会の学塾との勉強会に入った。最初に塾頭より「身・心・安・楽」という言葉の大切さをあらわした話をされ、次に鈴木県議の講演が始まりました。今回の訪問は、鈴木事務局長が県会議員に当選した報告と講演が目的でした。講演の内容は先の県会議員選挙が中心でした。その中で県議は何度も「一人では何もできない。周りの方のおかげ」と、語っていた。人と人の繋がりなくしては当選など思いもよらなかっただろう。やはり人脈は最高の宝なのだ。私はそう感じながら県議の講演に耳を傾けていた。
 講演終了後、塾生たちとの質疑に入った。私はそこで塾生から突然質問を受けた。「塾での経験を得た後あなたはどのような将来のビジョン(夢)を持っていますか?」という内容だ。私はここで頭がまっ白になった。緊張によるものではない。答えが見つからなかったからだ。振り返れば、明確な夢など考えたこともなかった。最近、政治の世界を見てみたい、かなうならば議員の秘書となり、真剣に政治の勉強がしたい。そういう想いが出てきたのはたしかだ。だが、では勉強した後どうするのか、どこでそれを生かすのか、考えたこともなかった。政治に興味があるのに政治家になりたいと考えたことすらない。四国政経塾に入塾して一年もたつのに、そのようなビジョンを考えていなかった自分を恥じた。塾生への返答もしどろもどろになってしまった。
 ホテルに帰ってからもそのことで頭がいっぱいだった。なんのために塾で勉強しているのかを今一度考えた。そして、将来のビジョンを明確に持ち、それに向かって精進していかなければならないと猛烈に反省した。

 翌日は、塾生同士がペアで活動することになっていた。私はパクさんという女性の方と組み、ダンナさんと一緒に、韓国の建物などを案内していただいた。といっても、パクさんは日本語がわからないし、私も韓国語がわからない。しかし、言葉がわからなくてもなんとなく通じるものである。昼食をとった店でのことだ。ハングル文字でメニューが、まったく解らず困っていたらパクさんのダンナさんが中国語版のメニューを持ってきてくれた。少しましになったが、漢字オンリーというのも困ったものだ。するとパクさんが韓国語でジェスチャーをまじえてメニューの説明を始めてくれた。言葉はまったく解らなかったが、どのような料理なのか不思議と感じた。正直、最初ペアを組む方が日本語をまったく理解できないと言われた時は不安だった。それはパクさんも同じだったはずだ。しかし心配する事は何もなかった。

            

 移動中の車の中でも話題は尽きなかったぐらいだ。時間が来てホテルへ戻ると、パクさんから「今日はホントに楽しかったよ。息子ができたみたいでうれしかったわ。韓国のお母さんと思って、いつでも里帰りしてね。」と言われ、わざわざお土産までいただいた。私はパクさんの住所を聞き、かならず連絡しますという約束をして別れた。塾頭の人との出会いはその場で終わらせるのではなく、継続することが大切ということを思い出した。塾頭もYOO先生との出会いを継続したからこそ、様々な交流ができるのだ。

 今回の訪問で私が得たものは大きかった。パクさんとの出会い、塾生との交流、そして、自分のビジョンを真剣に考えるきっかけを得たことだ。今後、人との交流の大切さや、自分の未来像を描きつつ、それらを踏まえて塾で活動し、見識を広げていきたいと考える。

 最後に、お世話になったYOO先生、パクさんをはじめ機会の学塾の方々、厚いお出迎えをしていただいた西区役所の方々、そして、大和田塾頭や鈴木事務局長に感謝いたします。本当にありがとうございました。
平成16年7月
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