政治不況・・・これもまた良し

 今でこそ世界を代表する大企業となった松下電器(現パナソニック)にも、何度と不況の波が押し寄せていました。松下電器が長引く不況に直面して3年目を迎えた昭和五十一年には、このような時期の過ごし方を問われた松下幸之助は、「私の考えでは、どんなに不況のときにでも進出していく道はありますよ。むしろ不況のときのほうが面白いとさえ言えます。気を引き締めて真剣になるから、道も見つかるのです。だから、十年も順調に伸びている会社があるとしたら、そのほうが危険です。十年うまくいったら必ずどこかゆるんでいるものです。」と、大きな不景気に襲われたことは、身のため、会社のためだと思うべきだと述べています。
 では昨今の政治状況はいかがでしょう?長きに渡り続いた自民党政権に終止符を打ち、民主党が政権交代を果たし、多くの国民が新しい政権に期待を寄せていました。三年前の政権発足当時80%程だった支持率が、現在は20%を下回る程の状況になり、やはり民主党をもってしても、この国を変えていくことは出来ないのか?といった空気が漂っています。しかしながら、このことも経済不況と同じ、政治の不況時代であると考えるならば、「政治不況もまた良し」ではなかと思います。どの政党が良い悪いとか、与党とか野党とかの問題ではなく、これら国家の問題は、ひいては国民自身の問題であることに、少しずつ気が付き始めた国民が増えているように思います。政治家を創り出すのは国民であり、今の政治レベルは言い換えれば、国民レベルの表れであるのかも知れません。そう考えると、今ある夢のような行政サービス、例えば高速道路無料化や子供手当など、多くの税金や国債に頼り執行されるこれらのサービスに係る費用を、誰が使い、誰が返すのか?は自ずと解ってくるのではないでしょうか?つまり税金は国民が支払い、国債は国民の資産から国が借りる借金でありますから、国家運営は全て国民が持つ力に委ねられているということになります。私達が今使っている税金や国債、つまりいま政策に使われるお金を、自分たちの子や孫の時代へ確実にツケを回しているのが現状の政治であり、我々国民自身がしっかりと政治に向き合い、方向修正をしなければなりません。
「松下幸之助は政治も経営だ」と言っています。政治課題を考えるきっかけとして、現在の政治不況を真剣に考えるなら必ず道は開けるものと思います。今のこの政治不況にあたり、国民一人ひとりが真剣に向き合わなければ、恐らくは後数年もしないうちに国家財政は破綻してしまうではないでしょうか。

 これを機に、いま一度、皆さん自身がこれからの日本・地域・会社・家庭・仲間・そして自分自身をどのようにしたいのかを考え直す時期だと思います。そして、今の時代にどんなリーダーが必要か?どの政党や政治家に自分の思いを託すか?自分自身は何が出来るか?しっかりと考えなくてはならないのではないでしょうか。

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