人間を磨く ・・・ 志

 松下政経塾は「人間を磨き、志を磨く道場」です。そもそも志とは何でしょうか。お金持ちになりたいとか、有名になりたいとか、高い地位を得たいとか、これは夢とか野心の部類です。志という以上、そこには条件が付くと思います。
 少なくとも公に対する目的があること。私利私欲を超えて、この国をこうしたいとか、この地域をこうしたいと、自分は棚に上げても、世の中のために人のためにこういう仕事をしたいという、少なくとも公のためのものである必要があると思います。
「志」… 志と言う事には三つの条件がある。
     三つの条件がそろった時に、志が存在する。


 一つ目 … 人生のテーマを持つ事
         人生のテーマとは、死ぬ瞬間まで追い求めるテーマ
 立場がどうとか、職場がどうとかと言うのが問題ではなくて、死ぬ最後の瞬間まで何のために生きるかという、自分の人生のテーマ

 二つ目 … 生きる原理原則を持つ事
        この一点だけは譲れないという、自分が生きていく上での原理原則を持
      つ事

 人間の肉体には背骨がある、その背骨が曲がっていると内臓に負担がきていろんな病気になる、人間には肉体の背骨と同時にもう一本背骨がいる、それは精神・心の背骨、まさに生きる原理原則。一流の人間はけして弁解しない。
 例えば、生涯弁解しない、この一点で良い、本当に貫き通したら大した人物になれる。まさに絶対これだけは譲れないという、生きる原理原則に生きる。

 三つ目 … 言行一致言っている事と、やっている事を一致させる
 口ではいくらでも立派な事や偉そうな事が言える、ですが部下も世間も絶対その言葉をもってその人の事を信用していない。なら何処を見ているか、言っている事とやっている事の実際の間を見ている。どういう人を人が信用するか、言っている事とやっている事を一致させようという厳しい生き方をしている人。言葉を換えれば、人に求める限りは自らやるという厳しさを持たないと、本当の意味で言行一致にならない。会社の上司であれば、部下に求める限りなら自らやる。あるいは教師なら、子供に求めるなら先生自らやる。この厳しさが、生きる原理原則、そして言行一致である。この三つの気持ちを持ち何時も、何事にも万事研修で有る

 自分が眼にし体験する全てが学びの基、これが万事研修。机に向って本を開いて先生の話を聞かなければ勉強にならないのではなく、本当に問題意識を持てば、全ての体験が学びの基である。これが松下幸之助氏の思いであり、松下政経塾の原点です。「真理は平凡の中にある」という言葉、本当に大事な事は、実はあたりまえの中にある、あたりまえの事をしっかり努力する事は、真理に至る道、それは底力、人間の底力を養うという事は、誰でもやっているあたりまえの事を、誰よりもキチンとやれる事が、人間の底力、どんな平凡な事でも、そこまでやるか、「え~おたく、そこまでやるの」という姿を見た時に、はじめて人との差ができる、あたりまえの事が出来るという事は、地に足の就いた人間になれる、あたりまえの事がしっかりやれるという事は、地に足の就いた生き方である、真理は平凡の中にあり、平凡をしっかり歩む事が大切ではないでしょうか。

第1番 霊山寺へ      目次へ      第3番 金泉寺へ